中西:先ほどお話に出た、あらゆる文化が大都市に集中しているという現状は、全国組織であるACPCにとっても、大変重要な問題です。一極集中の流れがたとえ止められないにしても、大都市に集中している利益をどのように還元していくかをきちんと考えた上で、地方創生も同時にやっていかないと、僕らの未来が見えてこないと思います。これはコンサートプロモーターだけの問題ではありませんので、行政側と足並みを揃えていかなくてはいけないですし、具体的な施策として異業種間のコラボレーションも大事になってくると考えています。
加藤:我々の既存の施設を使ってエンタテインメントとの連動を始めているのは、小規模なことでいえば、アマチュア・ミュージシャン育成のために、つるとんたんを作品発表の場として提供させていただいていること。それと大阪のウォーターフロント、中之島で行っているDREAMS COME TRUEさんと我々のコラボもあります。これは大阪府が取り組んでいる「中之島にぎわいの森プロジェクト」の一環として進めているもので、施設名所の「中之島LOVE CENTRAL」をはじめ、施設内すべてをDREAMS COME TRUEさんに関連したネーミングにさせていただきました。アーティストからの情報発信と地域振興がWin-Winの関係で結びつけ
られていると思います。
中西:ACPCでいえば、各エリアで毎年開催されているフェスですね。フェスを行うことでもたらされる経済効果、他地域からの観光客数をちゃんと数値化する必要がありますが、間違いなく地域振興につながっていると思うんです。そこから音楽だけではなく、食や伝統文化にどこまでその効果を広げられるかが今後の鍵になります。
加藤:地方創生の原動力になるのは、やはり観光なんです。つまり、視野に入れるべきは国内のターゲットだけではなく、海外からの観光客になってきます。その時に外国人にアピールできる日本のエンタテインメントがどうしても必要になりますよね。世界のメディアに日本の魅力を伝えられるような。
中西:2020年の東京オリンピック・パラリンピックの日程は、ちょうど全国で夏フェスが開催されるタイミングと重なっているんです。だから、オリンピックで東京に来た外国人観光客の方々に「ぜひ、地方にも足を運んでフェスに参加してください」とアピールするのも一つの方法じゃないでしょうか。でも、日本ならではの文化を象徴するようなエンタテインメントに、気軽にアクセスできる環境はまだまだ足りないですね。それを立ち上げていくには、どうしても文化や芸術、食を横断した異業種間のコラボが必要だと思います。