取材・構成:君塚太
撮影:小山昭人(FACE)
収録日:2025年3月31日
いち早く音楽と映像の融合を目指し、日本のコンテンツを世界に届けることを視野に入れながら、海外とのビジネスを長年続けてきた人物。カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(CEIPA)の会長には、依田巽さんこそがまさに適任だったと言えるでしょう。MUSIC AWARDS JAPANの開催を目前に控え、CEIPAでは副理事長を務める中西健夫ACPC会長と依田会長が、なぜ今、音楽5団体が国と日本のトップ企業とともにMUSIC AWARDS JAPANを開催するのか、さらにはアワードを起点に見えてくるコンサートビジネスの未来を語り合いました。
中西:依田さんのお名前は、もちろん長年存じ上げていましたが、お会いするようになったのは7〜8年前、ポニーキャニオンの吉村(隆)さん、ネルケプランニングの松田(誠)さんとともに食事をご一緒してからでした。それにしても依田さんは、本当に幅広い顔ぶれの方々と交流がありますよね。
大型コンサートができて、多様性もある
「コンサート特区」が必要です。
依田巽
カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会会長
依田:長く生きていると自然とお会いする方が増えていきますから。音楽業界がベースになって、映画やお芝居、アニメや放送関係の皆さん、とお付き合いが広がっていったのだと思います。要するに野次馬根性があるというだけですよ(笑)。
中西:色々なジャンルに興味を持つ、好奇心という意味では、僕も近いところがあると思います。それでも海外への交流の広がりでは、とても追いつけません。外国には今も頻繁に行ってらっしゃいますよね。
依田:これはまあ、62年間、海外とのビジネスをやっていますので。
中西:MUSIC AWARDS JAPANを控えて、CEIPAがロサンゼルスで開催したmatsuri(matsuri '25: Japanese Music Experience LOS ANGELES。Ado、新しい学校のリーダーズ、YOASOBIが出演。2025年3月16日/Peacock Theater)は、ご覧になっていかがでしたか。
依田:出演したアーティストは、3組とも堂々たるステージでした。MCも英語でこなしていましたし。私は今まさに、日本の時代が来ていると思っています。今回のmatsuriでも、日本のポップカルチャーがアメリカで、あるいは広く世界で、確実に根を下ろしつつあると感じましたね。
中西:特にコロナ禍の後、急激にJ-POPが世界に浸透している感があります。
依田:世界進出に関してはK-POPが先行しましたが、今、私たちが目にしている海外で売れている日本のアーティストたちも、ステージでのエンターテイナーとしての要素がより強く出ており、存在感を高めていると思います。
中西:確かにライブができる、ライブに強いところが日本のアーティストの強みですよね。
依田:とにかくお客様を必ず楽しませるというステージを展開していました。新しい学校のリーダーズは素晴らしいエンターテイナーぶりを発揮していましたね。
中西:本当にいつ観ても楽しいステージです。
依田:Adoさんのライブは、シルエット姿のAdoさんとファンとのコミュニケーションがしっかりと取れており、会場の熱狂的な反応に驚かされました。またYOASOBIも音楽性とエンタテインメント性を兼ね備えていると感じました。日本の漫画やアニメをきっかけに、他ジャンルの日本のカルチャーも受け入れられてきているわけですが、その効果からか、現地のファンも日本語の歌詞をそのまま歌っていましたね。
中西:日本最大のコンテンツであるアニメの効果は絶大です。
依田:本当にそうですね。