会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

コンサートプロモーターが立つべきなのは異文化が融合し、人と人が出会う場所

仕事は「何をやるか」より、まず「誰とやるか」が大事

撮影:宇都宮輝

「おもてなしとは楽しんでいただくこと。要するにエンタテインメントなんです」(楠本)
「地元の食を提供する各地のフェスでも発展型をプロデュースする必要があります」(中西)

渋谷QFRONTビルにあるカフェ、WIRED TOKYO 1999に足を運んでみると、本来はクローズドな空間であるはずの「店舗」に対するイメージが変わります。同じフロアにTSUTAYA BOOK STOREが併設されていますが、どこまでが書店でどこまでがカフェなのか、その垣根のない感じが独特の居心地の良さを生んでいるのです。TSUTAYAに置かれた本、そしてCD、DVDなどがカフェを拠点に訪れた人達と結びつき、単に飲食を楽しむエリアではなく、「人と人」「人と文化」のコミュニケーションの場として機能していることが分かります。

同店を運営しているのは、WIRED CAFEをはじめ様々なブランドの飲食店を展開し、都市・商業施設開発や施設の設計・デザインなども手がけるカフェ・カンパニー。代表取締役社長の楠本修二郎さんを今号のゲストにお招きしました。中西健夫ACPC会長とは「旅仲間」としてお付き合いが始まったとのことですが、この連載対談では「ライブ・エンタテインメントとカフェ」「音楽と食」が垣根を越える可能性、その際に必要となる人材、コンサートプロモーターが果たすべき役割を語り合っていただきました。

中西:もともと楠本さんと出会ったのは、某大手商社の共通の友人の紹介でした。食事に行ったり、旅に出たり。言ってみれば旅仲間ですよね、当時は。

楠本:僕が会社を立ち上げて3〜4年目の頃ですから、2005年くらいからのお付き合いですよね。僕は外食産業の業界の中だけで行動しないタイプで、他のジャンルの方とお会いするほうがむしろ楽しみなんですよ。中西さんはごく自然に僕の心にインサイトしてこられたというか、「あ、言われてみればそうかも」みたいなことをサラッと言ってくださるんですよね。

中西:ほとんど仕事の話はしないですよね。僕は例えば楠本さんの経営理念がすごいから、お話をしてみたい、一緒に仕事もしたいとは考えないんです。結局、その方と継続してお会いするようになるかは、相手を好きになれるかどうかしかないじゃないですか。

楠本:仕事も誰と一緒にやるかが最も大事だと思います。誰と組むかがまずあって、次に何をやるかになる。相手が「誰」かが決まれば、自然と自分の役割は決まってきますからね。「中西さんはこういうことが得意だから、僕がやるべきなのはこの分野だな」と。そのほうが僕も楽なんですよ。自分の主張をして、「こういうスキームで、契約はこういう形で」と説明しなければ物事が始まらないとしたら、それだけで疲れちゃいますから。カフェの運営は本来、経営側の理論よりお客様の側から物事を考えることが大事ですので、相手ありきの姿勢にそもそも慣れているんです。

中西:そういえば事業コラボレーションを一度だけしたことがありました。

楠本:そうでしたね。

中西:2010年に期間限定で、WIRED CAFE<>FITを展開しました。「FIT」というのはフィットネスのフィット。楠本さんの会社が運営するWIRED CAFEの隣にうちのライブハウスがあって、二つの店舗をフィットネスで結びつけたらどうなるだろうと思ったのが最初の発想でした。この対談にも登場していただいた、為末大さんのご協力も受けて。為末さんは最初、楠本さんにご紹介いただいたんですよね。

楠本:為末さんはちょうどアスリートのセカンドキャリアを考えるアスリート・ソサエティを立ち上げたばかりで、渋谷を拠点にアスリートが集まる場所をつくりたいといったことを別の会議で話していたんですよ。そうしたら中西さんが「実はそんな場所があるんですけど…」とおっしゃって。フィットネスとカフェを結びつけた店は、今でこそ結構ありますけれど。

中西:当時は先駆けでしたね。


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