――CEIPAとして今後もMAJを継続していく意志は、はっきりあるわけですね。

野村達矢
一般社団法人日本音楽制作者連盟理事長
一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会理事
MUSIC AWARDS JAPAN実行委員会委員長
1986年、渡辺プロダクション入社。89年、ヒップランドミュージックコーポレーションに移籍し、2019年に代表取締役社長執行役員に就任。ロングフェロー代表取締役社長、MASH A&R取締役なども歴任。2007年、日本音楽制作者連盟理事に就任。2017年に常務理事、2019年に理事長就任。
中西:もちろん継続しないと意味がないと思っています。初回は大変ありがたいことに高評価をいただいたので、これをブラッシュアップしていくことで、MAJが日本の音楽シーン、さらに日本人の生活の中に根づいているところまで持っていくことが目標です。来年は東京で開催予定なので、今年の反省も踏まえて、次回に向けた構想をこの1〜2ヶ月で検証していくことになると思います。
野村:音制連(日本音楽制作者連盟)の立場、アーティストをマネージメントする側からいうと、初回できちんと形を示せたことで、来年からはだいぶ進めやすくなると思います。例えばノミネート発表時には楽曲の国内ストリーミング数が22%増加、最優秀賞を受賞した楽曲は31%増加しました。当日パフォーマンスされた楽曲のストリーミング数の平均増加率は49%。「MAJ TIMELESS ECHO」に選出された矢沢永吉さんの歌唱3曲は平均増加率92%、オープニング・ショーでリブートされたYMOの「RYDEEN」は68%増加したそうです。つまり、出演してくれたアーティストに対しても音楽ファンのリアルな反応が数字に出たんです。さらにはNHKプラスでの同時配信、1週間の見逃し配信を合わせた視聴数が紅白歌合戦、オリンピック、連続テレビ小説、大河ドラマを除くNHK全番組の中で、歴代最高の数値を記録したことが発表されました。一般的にSNSでもバズり、「MAJは絶対観なきゃ」という現象を引き起こしたんだと思います。こういう結果を受けて、MAJの具体的な効果を印象づけられたと思いますし、その主体が特定の放送局や団体ではなく、日本の音楽業界全体であり、オールジャパンであることも浸透したと思います。ありがたいことに、アーティストやマネージャーの皆さんが「来年は絶対に出たい」と口々に言ってくれているのが耳に入っています。
稲葉:CEIPAが手がける事業には年に1回のMAJだけではなくて、継続的、日常的に行っていくTOYOTA GROUPさんとの共創プロジェクト、MUSIC WAY PROJECTもあります。MAJの受賞対象者もアーティストだけではなく、楽曲であったり、プロダクトに関わったクリエイターやスタッフに広げていくのが前提であって、MUSIC WAY PROJECTの一つ、SONG BRIDGEではソングライター、クリエイターにスポットを当てられればと思いました。今回は実績があるクリエイターが各国から京都に集まりコライティング・キャンプを行いましたが、これもあくまで継続的にやっていく上の第1回目で、このキャンプから生まれた楽曲はすごくレベルが高かったですし、何よりクリエイターの皆さんがこのプロジェクトを歓迎していますので、今後は規模を拡大したりするなど、新たな角度での試みを考えていきたいと思います。MUSIC WAY PROJECTではグローバルなスタッフ育成のためのセミナー、ワークショップも行っていきますし、様々な発表が随時リリースされていくと思います。