会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

昨今、コンサートやスポーツイベントなどのチケットを買い占めた業者や個人による、不当な高額転売行為が急激に増えている。トラブルに発展することも少なくないという「チケット高額転売問題」を、多くの人が自分ごととして考えるためのシンポジウムが開かれ、多角的な視点で意見が交わされた。
(以下、平成29年度ACPC人材育成研修会の2日目に行われたシンポジウムは、朝日新聞に採録されましたが、見逃した方のために再掲載します。なお、人材育成研修会の1日目の模様は「平成29年度ACPC人材育成研修会特集&チケット高額転売問題速報」に掲載されています)

第1部 チケット高額転売問題の経緯と業界団体の取り組み

音楽関連団体を中心に 高額転売の防止を啓発

石川:インターネットオークションを含め、今世の中には様々な転売サイトがあります。私たち音楽関連団体は、2年ほど前に、ある転売サイトがテレビCMを打ち出した頃から対応を強化してきました。

中井:高額転売は利益侵害やトラブルを招くものですし、音楽を愛する多くの人の心情も含めて放っておくことはできません。そこで2016年8月、音楽関連団体とアーティストの共同声明として「高額転売NO」というメッセージを新聞3紙の全面広告で掲載しました。

石川:大きな反響が寄せられましたね。賛同の声だけでなく「資本主義社会なのだから、いいじゃないか」「転売を禁止するだけして、行けなくなった人のことは考えているのか」といった意見もありました。

中井:はい。ただ、先ほどの転売サイトは詐欺に関する影響からサービスを停止しました。このCMを見て信頼し、チケットを出品したり買い求めたりした人が大勢いたと思います。ですから、私たちは昨今の転売にどういった問題があるのかをきちんと伝えつつ、法制化の働きかけをしていこうと考えました。そして、自民党のライブ・エンタテインメント議員連盟に窮状を訴え、議員立法に向けた動きを加速させています。

石川:また新聞の反響にもあった「行けなくなった時の救済手段」として、公式チケットトレードサイト「チケトレ」を開設しました。理解を求めながら、こちらの利用も広く呼びかけていきます。

悪質な転売を取り締まる 法案提出に向けて

石川:高額転売禁止の法制化は、今国会で前進するだろうと期待が高まっています。現状の法律や事例について、東條弁護士に解説していただきます。

東條:まず、これまでのチケット転売の摘発には「物価統制令」「古物営業法」「迷惑防止条例」が使われてきました。これらの法律では、古典的なダフ屋には対応できても、インターネット上で完結する売買を摘発するのは難しい、あるいは実効性に欠けるという課題がありました。しかし今後、摘発の方法は変わっていくでしょう。昨年9月に複数のアーティストのチケットをインターネット上での転売目的で入手した人物が詐欺罪で逮捕起訴されました。詐欺にあたるのは、転売を禁止しているプレイガイドや主催者に対し「転売する気はない」とだまして販売させたという部分です。今までは転売をダフ屋行為として規制できるかが焦点でしたが、転売目的の入手自体が違法だと認識される画期的な判決が下されました。策定が進む議員立法案では「転売ヤー」と呼ばれる個人や業者が転売する行為、そして不正転売目的でチケットを譲り受ける行為は違法となる見込みです。条文の内容が議論されています。

石川:音楽だけでなく、世界規模のスポーツイベントなどもありますから、適正な二次流通のルートをきちんと構築していく必要がありますね。


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