会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

もはや世界的に解決が望まれているといっていいチケット高額転売問題。本誌VOL.31で福井健策弁護士が語ってくださったように、問題解決には、ライブ・エンタテインメント業界側が講じる対策、そして議会や自治体による法整備の両輪が必要ですが、イギリスでは法整備に向けて一歩踏み込んだ動きが始まりました。日本における同問題の解決にも参考になりそうなポイントをレポートします。

ボット利用に無制限の罰金も

イギリスの文化・メディア・スポーツ省が、チケット高額転売対策で新たな法案の作成を進めていると報道されました。同省は、ネットダフ屋が人気チケットを買い占めて値段を吊り上げていること、転売サイトが高額チケット転売から25%程度の手数料を得ていることを問題視。

ボット(チケット買い占めに使われるコンピューター・ソフトウェア)によるチケットの大量購入を禁止し、違反者には上限なしの罰金刑が検討されています。

また同省は、チケットマスターのような一次販売会社が自社で転売サイトも所有していることで、ネットダフ屋とチケット一次販売会社が実は共生関係にあり、それゆえネットダフ屋対策が進んでいないと指摘。チケット販売会社に対してボット対策の強化、ボット利用を察知した際の通報といった企業努力を求めています。

イギリスではチケットを転売する際に、座席番号や額面価格の明示を義務付けた消費者保護法がありますが、主要な転売サイトでは座席番号を元に主催者が転売チケットを無効化することを恐れてか、この義務がほとんど果たされておらず、法律の厳格な順守が求められます。

大手転売サイトのヴィアゴーゴーのロンドンオフィスは、チャリティーコンサートのチケットの高額転売から利益を得た行為が道徳的違反として起訴されました。チケットマスターも、自社で所有する転売サイトで数千ポンド分のチケットを200万ポンド(約3億円)で転売したことで有罪判決を受けたほか、グーグルはヴィアゴーゴーとの「結託」で起訴されました。グーグルで主要なイベントを検索すると、検索結果のトップは常にヴィアゴーゴーが表示されており、ヴィアゴーゴーがグーグルの有料スポンサーであると見られます。

ネットダフ屋とチケット転売サイトへの社会的な批判が高まりつつあるなか、テリーザ・メイ首相が党首討論の場でチケット高額転売への対処を確約したこともあり、今後も対策が進む模様です。

参考文献 : The Guardian「Ticket touts face unlimited fines for using 'bots' to buy in bulk」by Rob Davies 2017年3月10日


同じカテゴリーの記事

[SPRING.2017 VOL.33] TALKING BLUES

[SPRING.2017 VOL.33] MUST BOOK

[SPRING.2017 VOL.33] navi STUDY

[SPRING.2017 VOL.33] スタートした「障害者差別解消法」 同法が狙う「差別の解消」とは?

[WINTER.2017 VOL.32] TALKING BLUES

[WINTER.2017 VOL.32] MUST BOOK

[WINTER.2017 VOL.32] navi STUDY

[AUTUMN.2016 VOL.31] 世界が動き、私たちも動く

[AUTUMN.2016 VOL.31] 60年代ポップ少年

[AUTUMN.2016 VOL.31] 20周年を迎えたフジロックの進化、各地の新傾向フェス

もっと見る▶