会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

FUJI ROCK FESTIVAL

新潟県・苗場スキー場

石飛智紹

(スマッシュ)

まず、東日本大震災後の開催にあたり総論を述べます。
震災直後は中止等を余儀なくされるなどの可能性は考えましたが、「自粛」の考えはありませんでした。音楽のチカラを信じて、そして音楽を愛する参加者・アーティスト・スタッフのチカラを信じて、みんなが震災を乗り越え、元気になれるよう開催続行を決めました。なお、開催地・新潟では04年の中越地震、07年の中越沖地震(開催10日前発生)と二度の大震災がありました。この時の被災地支援アクションを通じて経験した実感として、開催することがチカラになることを確信していました。また、新潟県の泉田知事からは、以下のコメントをいただきました。
「今回の東日本大震災を乗り越え、みんなが元気を出すためにも、この夏、多くの皆様が苗場・フジロックに集い、その大自然と熱気を感じていただけるようなフェスティバルになることを期待しています」

被災地支援のアクション

●東日本大震災復興支援プロジェクト「Benefit for NIPPON」の一環として来場者とともに活動。

●福島県災害対策本部に送金する義援金を募ったが、大きな反響と多額の義援金をお預かりした。
義援金総額 \9,809,274
(詳細)http://www.fujirockfestival.com/news/?id=1221

●フジロックに関わる大勢の人たちの協力のもと、被災地支援のために私たちができることを、来場者と一緒に行なえる場を提供。

●エネルギーシフトをテーマに、反核・脱原発アトミック・カフェ・フェスティバルの復活をサポート。

●NGOヴィレッジにおいてアピール=被災現地で活動するNPOを招き、お話を聞いたり、ボランティアネットワークの紹介などを行なった。

●被災地周辺の来場者に無料バスを提供=震災を受け、当初予定していた東北
(仙台)発着のバスプランは、復興への願いを込めて無料にて運行しましたが、例年を大幅に上回る参加をいただきました。

●この他にも会場内では様々な団体が被災地支援のPRを行ないました。
(詳細)http://www.fujirockfestival.com/news/event16.html

東日本大震災の影響を含め、開催・運営についての例年との違い

最終的には大きな変化・影響はありませんでしたが、以下に検討してきた事案を紹介します。

● 会場運営・セキュリティ面(影響なし)
交通(主要道路、新幹線運休等)、会場及び周辺の地震・荒天等に伴うハザード等に対する避難誘導に関して、事前に後援自治体である新潟県、湯沢町と協議を行ない対策を検討した。同じく、会場周辺の放射能測定を自治体を通じて行なった(自治体HPにて公表)。
簡易地震測定器などを設置した。また、緊急時広報のより一層の速報化を追求した。

● 節電(影響なし)
フジロック会場=電力会社供給による電力使用は限りなく少なく、フジロック会場の99%以上の電気は自家発電(ディーゼル)によりまかなっているため影響は最小限となった。また、例年通り一部のステージ・施設では廃油リサイクルによる「バイオディーゼル燃料」や「太陽光発電」を導入し、エネルギーシフトへの可能性を示すと共にCO2 排出量削減にも取り組んだ。
開催地周辺=交通・宿泊施設などにおいては冷房中断などの節電対策を行なったと伺っています。

● トイレ・発電機等の仮設設備(影響なし)
被災地などでの使用を最優先にしていただいた上で借用をお願いしていた。各業者さんからは、開催時期には不足は生じないとの見解を得ていた。

● アーティストのキャンセル
福島原発事故の影響による海外1組のキャンセルを除いて、影響なし。

会場に集まった観客の様子や動員面での例年との違い

のべ動員数 今年115,000人、昨年125,000人

出演アーティストのモチベーション、MCの内容、セットリストにおける変化

「Benefit for NIPPON」として震災直後に日本への呼びかけを求めたところ、100組以上のアーティストから心強い励ましと温かいメッセージをいただいた。
(詳細)http://smash-jpn.com/nippon/messa.html
反核・脱原発アトミック・カフェ・フェスティバルを行ったAVALON会場は、連日動員記録を塗り替えるほどの盛況で、来場者の関心の高さを物語っていた。
【参加ミュージシャン】 ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(SFU アコースティック Ver.)/加藤登紀子/MANNISH BOYS(斉藤和義×中村達也)
【トークゲスト】 田中優(未来バンク事業組合)/伴英幸(原子力資料情報室)/鎌仲ひとみ(映画監督)/YELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)のお三方
MANNISH BOYSとして登場した斉藤和義氏は「みんなウソだった」を披露。加藤登紀子さんからは母性あふれるメッセージを、飛び入り参加いただいたYMOのお三方からは、原発事故の影響に対する素朴な投げ掛けと同時に専門知識も交じえた貴重なアピールをいただいた。その他、出演者200組以上につき個々の返答はできませんが、皆さん被災者への祈りをこめてパフォーマンスを行なってくださいました。


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