会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

福井健策弁護士に聞く「ライブ・エンタテインメントをより豊かにするフェアな道筋」

明らかな「異常事態」

PROFILE ふくい・けんさく
弁護士・ニューヨーク州弁護士/日本大学芸術学部客員教授。骨董通り法律事務所代表パートナー。『著作権の世紀』『誰が「知」を独占するのか』(集英社新書)など著書多数。国会図書館審議会・内閣知財本部ほか委員・理事。
撮影:小嶋秀雄

チケット不正売買の問題は、ライブ・エンタテインメントに携わるアーティスト、事業者、音楽関連団体などが意見広告という形でアクションを起こしたことで、広い範囲から注目されるようになりました。一方でチケット転売サイトを介したダフ屋行為が横行している状況は変わっておらず、業界を挙げての対策を迅速に講じることが引き続き求められています。インターネット時代のエンタテインメントや知財、著作権についての著書が多く、この問題についても積極的に発言されている福井健策弁護士に、より豊かなライブ市場を実現させるフェアな道筋はどこにあるのか、法的な根拠を交えてお話いただきました。

福井 東京都をはじめ多くの自治体では、迷惑防止条例によって公共の場所でチケットを転売目的で購入することとか、人々につきまとって転売しようとする行為を禁止していて、最高で懲役6ヶ月という罰則もあります。しかし、インターネットでチケットを転売する行為となると、ネットは「公共の場所」なのか?という議論になるわけです。確かにネットもパブリック・スペースの一つだといえると思いますが、もともと迷惑防止条例ではリアルな場所での行為しか想定していなかったこともあって、適用できるかは不明確です。

そんな状況のもとで、専用ソフトや多重アカウントを駆使して売り出し直後にチケットが買い占められてしまい、ひどい場合は会場のキャパシティの1/3以上の席が転売サイトで高額で売られている例があるわけです。今、ちょっと見てみましょうか……あるコンサートでは「急遽キャンセルが出たのでお譲りします」というコメントとともに売りに出している人がいて、1枚13,000円のチケットに10万円の値付けをしています。急遽キャンセルが出たわりには強気ですよね(笑)。こんな例が多発する裏で、一般のファンは定価でチケットを買えなくなっていて、やはりこれは異常事態だといわざるを得ません。


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