会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

ライブ関連の規制は限定的になる見通しです

改正のことに触れる前に、そもそも風営法とはどんな法律だったかをご説明します。例えばクラブなどの、客にダンスをさせる店舗。ダンスは風俗営業とされ、なおかつ深夜営業が一律禁止されており、また広く遊興全般についても深夜に飲食店が提供することは一律禁止されていました。今回の改正は、ダンスが風俗営業から外れ、また許可制にはなりますが、飲食店が深夜に遊興を提供できるようになったことがポイントです。

では、ライブなどのエンタテインメントの提供をする、ライブハウスや野外フェスはどうだったのかといえば、実はこれまでの風営法でも深夜12時を過ぎた、飲食をともなうエンタテインメントの提供は認められていませんでした。しかし、実際にはライブ演奏で摘発された例はありませんし、ほとんどが深夜まで営業できていた。クラブとは違いライブハウスやフェス周辺では風営法の問題は顕在化していなかったですし、騒音問題などで個々に多少の問題はあったとしても、業界全体で問題にするような話ではなかったと思います。

国会審議の中でも、風営法改正を要望してきたのは主にダンス業界の方々で、ライブ・エンタテインメント業界から議論が生まれることはほとんどありませんでした。それが今回の改正で「許可を取れば深夜営業も可」と明確になり、逆にいえば「許可を取らなければ不可」と解釈できるとなったことで、許可を取らなくてはライブハウスやフェスが深夜までできなくなるとか、カフェやバーなどで夜中にちょっとしたアコースティックライブをするのもダメとか、不安が急に広がってきたのが現在の状況だと思います。

改正風営法は6月に成立しているんですが、実際に法律を適用するためには、もう少し細かい規定を盛り込んだ、政令や省令が必要になります。それらが決定していない現段階では、はっきりとしたことを申し上げられないのですが、ライブ関連の規制が強化されるということはないように思いますし、警察庁も今回の改正が規制強化ではないことを再三強調しています。

ライブと飲食の区分

風営法で規制される対象となり、許可の取得が必要なのは「特定遊興飲食店」で、「特定」というのは「深夜」という意味なのですが、フェスは「飲食店」とはいえないでしょう。例えば映画館もエンタテインメントを提供していて、飲食ができ、オールナイト上映もありますが、飲食店ではありません。これと同じ理屈になります。ライブハウスも、入口から奥に入るとバーカウンターがあって、そこでドリンクを頼めますが、あくまでライブフロアは「興行場」であって、「飲食店」ではない。飲食をするのは別のスペースであって、「客席にドリンクは持ち込まないでください」と貼紙をしているところもあります。改正法の適用後、ライブフロアと飲食スペースをある程度区分するよう、指導が入ることはあるかもしれませんが、現在はこのような解釈でダンス議連(ダンス文化推進議員連盟)の方々を中心に折衝が進んでおり、引き続きライブ業界からも働きかけをしていく必要があるように思います。


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