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Coachella Valley Music and Arts Festival 2018視察報告

経済効果300億円以上。巨大フェスの地の利、日程の利

いま最も人気の高いフェスと称されるコーチェラ。2018年は4月13日(金)~15日(日)と20日(金)~22日(日)の6日間、アメリカ・カリフォルニア州のエンパイア・ポロ・クラブにて開催されました。

会場であるポロ競技場は砂漠地域に広がる芝生ゾーンで、出演者はヒップホップ~R&B、インディー・ロック、ダンス・ミュージック(EDM~テクノ~ハウス)が中心です。総動員数は約25万人で、1日あたり4万人以上が参加。駐車場・キャンプ場含む会場全体が280エーカー(東京ドーム約25個分)もの広さゆえ混雑も少なく、トイレやシャトルバス、飲食ブースの待ち時間もほぼありません。モバイルアプリを介した情報配信の便利さや、場内に多くの清掃員を配して清潔感を保つなど、来場者は快適に過ごせます。

▲会場は砂漠地域の芝生ゾーン

チケットは1週目・2週目の、それぞれ3日通し券で販売。一般入場券で429ドル、VIPパスは999ドルと高額ながら、VIPでも相当の枚数が購入されたようです。VIPゾーンは余裕のある空間配置で休憩所も多く、「多く代金を払うユーザーに、より快適な体験が提供される」という認識が主催者・来場者で共有されているようです。なお、2017年のチケットの売上額は約130億円と報道されています。

会場はLA国際空港から約230kmとアクセスは良くありませんが、広大な敷地に点在する7つのステージとアート作品群、美しい夕焼けや椰子の木々といった非日常的空間を、世界各国から来場した観客も満喫していました。

近年のコーチェラはチケットが即日完売しており、これはトレンドを掴んだラインナップだけでなく、著名人の来場による話題性やブランド化、YouTubeでのライブ配信などのプロモーションも奏功しています。競合フェスが少ない4月の開催ゆえ、ブッキングや注目度でも優位性があり、世界中の夏フェスにも影響を与えています。舞台美術・映像・照明などでは野外フェスと思えない先進的な演出にも取り組み、これは乾燥地で雨が降らないゆえ可能とも言えます。

コーチェラ開催による経済効果は300億円以上と見られ、地元のインディオ市は人口がほぼ倍増する(2000年の4.9万人から2017年は8.8万人)など、インパクトは非常に大きいです。今年から日本でも公式ツアーが始まり、日本人の参加者も増えていくでしょう。

▲広大な会場を観客はストレスなく動き回り、幻想的な風景と舞台演出を楽しむことができる


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