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世界的に増えつつあるアーティストの展示イベント

膨大な資料とテクノロジーの活用でエンタテインメント性アップ

音楽ビジネスの多様化の表れとして、アーティスト関連の品々を展示するイベントが世界的に増えています。

ロンドンとニューヨークで巡回展示されたローリング・ストーンズの「エキシビジョニズム」は、彼らの長い歴史を写真やポスター、楽器、衣装、ミュージックビデオなどを通して描き出すもの。500点を超える膨大な資料に加えて、活動初期にメンバーが共同生活していた乱雑なアパートの一室やレコーディング・スタジオ、コンサートのバックステージをリアルなセットで再現したり、直筆のメモや作曲ノート、レーベルとの契約書といったバンドが提供した貴重な資料も多く展示されています。

また、彼らのライブ・パフォーマンスを疑似体験できるコーナーが目玉となっており、展示会とライブとの強い関連性も感じさせます。

日本でも、先日開催されたデヴィッド・ボウイ展「DAVID BOWIE is」が大きな話題を呼びました。世界9か国を巡回し、160万人以上を動員したこの展示では直筆のスケッチや楽譜、華美な衣装など300点超の資料に加え、専用のヘッドフォンで楽曲と共に展示を楽しめたり、ダイナミックな映像を用いたパフォーマンスの再現も見どころでした。

ボウイとの親交の深い坂本龍一さんがトークやピアノ演奏を披露するイベントも行われています。

他にも世界初となるキッスがテーマの「KISS EXPO 2016~地獄の博覧会~」が日本で開催されたり、2017年5月からはピンク・フロイドの展示会がロンドンで開催される予定です。

日本人アーティストの展示会も増えており、きゃりーぱみゅぱみゅやGRANRODEO、ももいろクローバーZ、でんぱ組.incといったアーティストが各地のイベントスペースやライブハウスなどで衣装展を行っています。Perfumeは衣装やステージの模型などの展示に加えて、ヘッドマウントディスプレイを用いたVR演出にも取り組むなど、テクノロジーの活用も進んでいます。

アーティスト関連の展示イベントの成功には、コアなファン層の存在や写真・映像・衣装などのアーカイブの蓄積が不可欠ですが、本人の稼働がなくても成立するうえ、来場者のグッズ購入率が比較的高いとも見られており、今後もさまざまな展示イベントの開催が見込まれます。

大回顧展「DAVID BOWIE is」。山本寛斎氏による衣装、映画『戦場のメリークリスマス』のコーナーなどボウイと日本の深いつながりを感じさせる提示も。撮影:Shintaro Yamanaka(Qsyum!) 写真右はローリング・ストーンズ「エキシビジョニズム」展の会場外に設置されたオブジェ。
参考文献:朝日新聞「ロック展 世界『ツアー』」2016年12月24日夕刊/オリジナルコンフィデンス「ニーズが高まる“アーティスト展”」2015年5月11日 


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