書籍名:私説 大阪テレビコメディ史 花登筺と芦屋雁之助
出 版:筑摩書房
一般社団法人コンサートプロモーター協会
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ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:私説 大阪テレビコメディ史 花登筺と芦屋雁之助
出 版:筑摩書房
本誌では毎号、何らかの形で「地域の独自性と文化」に触れた記事を掲載しているが、音楽以外にもローカリズムを代表する文化はある。例えば大阪の「笑い」。
商業の中心地ならではの活気。支配者(大名)不在の幕府直轄地だった故に生まれた自由な気風と反骨精神。いや、そんな歴史的な背景を説明もするまでもなく、街を歩き、市井の人々の会話に耳を傾けるだけで、大阪では立ちどころに独特の笑いのリズムが伝わってくる。それは本誌の連載、鏡孝彦ACPC専務理事による洒脱なコラムからも感じとれるだろう。
「大阪と笑い」を掘り下げた本には名著も多い。故・桂米朝や上岡龍太郎の上方芸能についての著書は、ある意味「ローカリズムの教科書」といえる。近刊では澤田隆治(伝説の高視聴率番組『てなもんや三度笠』のディレクター)が綴った回顧録『私説 大阪テレビコメディ史』がお薦め。劇場と劇団、脚本家とディレクター、芸人とプロダクションの間にある大阪らしい濃厚な人間関係が折り重なって、名番組が生まれていたことが分かる。
9月の新橋演舞場では松竹新喜劇の公演が行われていた。藤山寛美亡き後も、孫の藤山扇治郎と三代目渋谷天外を中心に、東京の観客を大いに沸かせていた。最強のローカリズムは全国に通用する。