会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

全国に広がるACPC加盟社は、地元エリアの地域性、これまで歩んできた道程によって、各社のカラーがさまざまに分かれています。本連載では毎号、ACPC正会員社が持つオリジナルのプロモート術、会社を支えるスピリット、そして時には多忙な日々を乗り越えるための「遊び」まで、各社の「独特ポイント」をご紹介していきます。

(株)ジー・アイ・ピー
〒980-0821 宮城県仙台市青葉区春日町6-15
TEL022-222-2074
FAX022-222-4951
URLhttp://www.gip-web.co.jp/
代表者代表取締役 佐藤寿彦
設立1981年7月29日
業務エリア宮城・青森・秋田・岩手・山形・福島・東京
主な自主企画公演ARABAKI ROCK FEST. 他

東北のインフラを最大限に活かす「初めてコンサートを実施する会場」

雪が舞う仙台の街に建つGIPの自社ビル社屋とオフィススペース。写真右はお話を伺った小川治さん
撮影:小嶋秀雄

開拓し続けた歴史

ジー・アイ・ピー(以下、GIP)のWEBサイト「チケットGIP」には、コンサート/イベントのスケジュール、チケットの発売情報、ARABAKI ROCK FEST.の特設ページなどが並ぶ中で、「GIPが初めてコンサートを実施した会場」と題された表が掲載されています。仙台サンプラザでは1991年にB’zの公演によってコンサート開催の歴史が始まり、グランディ21(宮城県総合体育館)では98年にF-BLOODが第一歩を記した――これらの「初」が記された表には、GIPの歴代スタッフが考える「東北で何をすべきか」が凝縮されているといえるでしょう。同社コンサート本部部長の小川治さんに、GIPが新たな会場を開拓し続ける理由を伺いました。

小林:東北6県全体で考えても、ライブハウスなどのインフラが整ってきたのは、おそらくこの10年くらいだと思います。1990年代には、まだ普通にライブを楽しめる環境自体がほとんど整っていませんでした。全国的に見ても、特に行政主導でつくられたものは展示会や会議に使うことしか想定していない会場も多かったと思います。そんな中で会社の諸先輩がやってきたことは、本来はコンサート用につくられたものではない会場を、関係各所に交渉したり、安全面を考えながら、ライブに利用していくことでした。もちろん、実際にコンサートを開催してみて、近隣住民の方々への影響や会場の構造から、今後は難しいと判断した例もありました。

ゼビオアリーナ仙台は、アイスホッケーのチームを持っている企業、ゼビオさんがホームアリーナとして、またフットサルやバスケットボールなどのスポーツ複合施設としてオープンさせた会場です。計画の段階で弊社にもご相談いただいたこともあり、当初からライブでの使用も念頭に置いていたのですが、オープン後はやはり試合会場として使われる頻度が高くなりました。とはいえ、周囲の環境はいいですし、アクセスも便利なので、ライブ会場としても定着させたいと考えて、2013年に初めてONE OK ROCKのコンサートを開催したんです。

仙台の場合、「アリーナ」と呼べる会場は、キャパが4000〜5000のゼビオアリーナ仙台と、7000〜8000のセキスイハイムスーパーアリーナです。この2会場のキャパの差、会場使用料などをビジネスとして考えると、「だったらセキスイハイムスーパーアリーナでいこうよ」となる場合があって、難しい面もあります。

初めての会場を使うアーティストにも当然不安はあるでしょうし、そこを我々がきちんとプレゼンテーションして、挑戦するだけのメリットを感じてもらわなくてはいけない。現在はどの地域でも情報の伝達やチケットの入手にタイムラグはありませんので、各地のプロモーターは地元の企業や行政側とコネクションを築いて、地元のインフラを最大限活かすことが非常に重要になってきていると思います。弊社には常に新たな試みをしてきた歴史があります。ARABAKI ROCK FEST.も、2006年までは会場が何度も替わって、ちまたでは「ジプシーのフェス」といわれながらも、成長を続けられた理由の一つがここにあると思います。

ゼビオアリーナ仙台の外観とコンサート時の場内。2012年10月にオープン、最新鋭の映像・音響設備が備わっている。2014年後半は竹内まりや、UVERworldなどの公演が行われ、2015年3月にはVAMPSが予定


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