会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

山崎芳人ACPC会長による報告 ACPCの活動とライブ・エンタテインメントの現状

震災による影響を受け公演数減少もV字回復

データをモニターに映しながら、数々の調査結果を報告する山崎芳人ACPC会長
(キョードー東京代表取締役社長)

平成23年度のACPCの活動と現状をご報告いたします。
ACPCは2012年2月現在、正会員56社、賛助会員96社で構成されています。
昨年4月の一般社団法人への移行にともない、従来の主務官庁による監督がなくなり、ACPCは民間の企業に近づきました。そのメリットとして、事業活動が自由化され、収入内容や財産の保持、使途に関する制限が緩和されています。逆にデメリットとして、税制上の優遇措置がなくなりました。
そして一般社団法人化により、法人の主体的な組織運営や、柔軟な事業の展開が可能になりました。引き続きACPCでは、会員社・ユーザー双方にメリットのある、共益性の高い事業を行なって参ります。

2011年のACPCの事業活動のうち、最も重要なものの一つに、東日本大震災への復興支援活動が挙げられるでしょう。具体的には、会員社の開催する公演会場での募金活動や、各種チャリティーイベントへの協力、東北地方の正会員5社への救援物資提供、公演実施における節電方法の研究、全国的な延期・中止公演の調査などを行ないました。
その調査によりますと、震災以降、全国で中止・延期された公演は約1700本、損失額は約125億円でした。この数値は、ACPC会員社の年間公演本数・売上の約10%に相当します。
しかし、震災直後こそ公演数もかなり減少したものの、5月・6月には多くの振替公演が開催され、公演数が前年を大きく上回りました。7月以降も全国各地のフェスティバルをはじめ、コンサート・イベントが例年通り開催され、さらに公演数が続伸。公演申請件数は、2011年4月?2012年1月末までの10か月分で、すでに前年度の12か月分の実績を超えました。

このライブ・エンタテインメントの復活は、速やかな振替公演の実施と、通常の開催ペースへの早期の回復、チャリティーイベントや復興支援コンサートの増加などが要因として挙げられるでしょう。
ACPCの2011年1月?12月の著作権使用料額は16億0469万円でした。前年比102%と伸びていますが、この数値は会場キャパシティとチケット料金から算出される数値であり、チケットの売上と直結しているものではありません。そして、2012年4月以降は著作権使用料率の改定が行なわれます。会員社の負担が増える一方、世間的には「使用料額のアップ=市場の順調な拡大」という見え方になるため、公演における経費負担の増加等、マーケットの実情に沿った理解を図るべく周知を進めて参ります。


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