会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

宮城大学の構内 撮影:小嶋秀雄

ACPCでは、公益事業の一環として、教育機関での寄附講座などを行っています。これは教育の現場を支援し、社会に貢献することを第一義としていますが、学生の皆さんが音楽産業やコンサートプロモーターへ興味を持つきっかけをつくり、ライブ・エンタテインメントの未来を担う人材の育成を目指す目的も兼ねています。こういったACPC側の目的意識を、教育機関の方々は、どのように受け止めてくださっているのでしょうか。寄附講座の現状をレポートするとともに、大学や専門学校の皆さんの声を集めました。

東京工科大学/日本工学院 片柳学園と歩んだ寄附講座の歴史と現在

ACPCともっとも古くから交流のある教育機関が、学校法人片柳学園です。同法人は東京工科大学、日本工学院専門学校などを有し、現在日本工学院の学校長である千葉茂さんは、2001~2006年度までACPCの外部理事も務めてくださいました。
既報の通り、現在は東京工科大学メディア学部における寄附講座「ライブ・エンタテインメント論」を継続して開催(本年度で8回目)、音楽業界のトップランナーの方々による講義を通して、産官学の連携を深めています。

そして日本工学院へは、2000年度より音楽系コースのミュージックカレッジを対象に、人材育成支援を実施。当初は業界セミナーへの講師派遣や、音楽系企業を招聘しての大規模セミナーの実施協力が中心でしたが、現在は求人情報の提供、職場見学会やインターンシップ受け入れの呼びかけなど、より就職へと直結した活動へと推移しています。
同校はコンサート・イベント科、ミュージックアーティスト科、レコーディングクリエーター科、ダンスパフォーマンス科を有する音楽専門学校として、長きに渡り多種多様な人材を輩出していますが、昨今の学生の特徴や長所について、ミュージックカレッジ担当教員の中村英詞さんにお話を聞きました。

お話を伺った日本工学院専門学校・ミュージックカレッジ コンサート・イベント科/レコーディングクリエーター科担当教員の中村英詞さん

中村:自分の意見を是が非でも主張する学生が減り、「みんな一緒が良い」と考える風潮も見られますが、そんな中でもそれぞれが辛いこと、大変なことに挑戦する気持ちを持ち、維持させていくために、信頼できる教師との連携が不可欠であると実感しています。また幼少期よりPC環境が整っているためか、PCスキルは非常に覚えが早く使いこなせています。
就職に関して、音楽業界の企業の皆様は時代に合わせた柔軟な対応をしてくださっていますが、学生にはどんなに厳しい社会においても「強く生き抜く力」を身に付けさせる、そのための授業実践が専門学校としてやるべきことです。厳しさや優しさも含めた、人の温かみに触れられる体験を通して1人ひとりを成長させ、簡単には辞めない学生を育てることが重要だと考えています。


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