ACPCの活動内容と取り組み音楽産業の発展に向けて

急に浮上した「人流の抑制」
その背後にあるコンサートの実態
観客の思いへの無理解

グランキューブの問題が表面化する以前に、大阪では感染者数が急激に増えた時期がありましたが、コンサートの開催状況はどうだったのでしょうか。

6月21日に緊急事態宣言からまん延防止等重点処置に切り替わってから、今後はコンサートも開催できるという雰囲気にはなってきました。ただし、それ以前のことで言えば、5月12日から緊急事態宣言が延長になってから、5月いっぱいまでは東京でコンサートはできていたと思いますが、大阪ではできなかったんです。6月に入ってからも、東京では土日の開催はできていたと思いますが、大阪ではできませんでした。

上田ご存知の通り、ライブ・エンタテインメントにとって、ここ数年は土日が重要になっていましたから、これはキツかったですね。全国的には土日も含めてキャパシティを制限すればできる空気になっていたと思いますが、大阪では感染者数を考えて行政側からも「無理です」という話が出てきたんです。行政と話し合ってつくってきたそれまでのガイドラインが、ガラッと変わってしまった。急に「人流」という言葉に象徴される方針になって。「とにかく人流を抑えたいので、申し訳ないけれど難しいです」と。

長井今日集まってくださった大阪のプロモーターの皆さん、全国各地の事業者の努力によって、コンサート、ライブ会場でのクラスター発生は報告されていないんですよ。コロナの問題が発生した当初は別にして。それは政府も自治体も認めていることなんです。ところが、人流の抑制という方針が急に出てきて、かなりおかしな方向に進んでしまった。人流とは目的なく、フラフラ出歩くことで増えるわけです。コンサートに行くのは、何月何日の土曜日、18時に開演する場所に足を運ぶための約束された行動ですから、コンサートと人流の抑制は関係がない。しかも直行直帰、行って帰ってくるだけの行動をお客さんにはお願いしています。基本的には通勤通学と同じなんです。

時間帯、ルートと決まった行動をして、目的地である会場では感染対策がちゃんとできているわけですからね。

上田大阪府の知事や市長は、ライブを観にきていただいたことがあるんですが、役所全体ではコンサートやライブの経験がない方が多いと感じます。だから実態が理解できないんですよ。

長井役所の担当の方、内閣の担当の方、専門家の先生などを公演にお連れすると、今、会場でお客さんが声を出さずに、拍手だけで観ることをきちんと守っている姿を目の当たりにして驚いています。「ファンの方はアーティストに迷惑をかけちゃいけない、コンサートができなくなったら嫌だという気持ちが強いので、しっかり運営側の要望に応えてくれるんです」と説明すると納得はしてくださるんですが……。一度「直行直帰の要望は出しても、コンサートの帰りに飲み屋さんに行ったりすることもあるんじゃないですか」と聞かれて、「すいません。コンサート終わる時間、今はもうお店が閉まっています」と答えました。こんなことは申し上げたくないのですが、コンサート会場の現実についての理解度はとても低いですね。