会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

ライブからスターを輩出するポイントは「声」

PROFILE ゆかわ・れいこ
1 9 6 0 年、『スウィング・ジャーナル』でジャズ評論家としてデビュー。その後、エルヴィス・プレスリーやビートルズなどポップス/ロックの評論・解説を手がけ、『全米T O P 4 0 』( 旧ラジオ関東・現ラジオ日本)を始めとするラジオD Jとしても活躍。作詞家として『涙の太陽』『ランナウェイ』『ハリケーン』、『センチメンタル・ジャーニー』『ロング・バジョン』『六本木心中』『あゝ無情』『恋におちて』などのヒット曲を生み出し、受賞多数。著書に音楽評論家生活4 5 年、作詞家生活4 0 年記念書籍『湯川れい子のロック5 0 年』(シンコーミュージック・エンタテインメント)など。2 0 1 6 年1月には、音楽評論5 5 年・作詞家5 0 年を記念してコンピレーションC D『音楽を愛して、音楽に愛されて 洋楽セレクション』( ユニバーサルミュージック)、『同 邦楽作詞コレクション(ビクターエンタテインメント)がリリース。同じタイトルで、S p e c i a l I s s u e 湯川れい子8 0 t h 記念ムック本( ぴあ)も発売された。

中西:ライブからスターが生まれるとするなら、ポイントは「声」だと思うんです。僕は今年の夏も結構な数のフェスに足を運びましたが、正直にいうと声に魅力がある若いアーティストは少ないと感じました。今までスターになってきたアーティストは、やっぱり声に個性があるし、声を聴けば誰が歌っているかすぐ分かる。今のアーティストはたとえサウンドが素晴らしくても、強い印象が残らないのは、そこだと思うんですよ。

湯川:伝わってこないですよね。耳に噛みついてくるような、圧倒的な力が声に宿ってないんですね。

中西:とんでもない声を持っていると、とにかくライブをやれば全部吹き飛ばすくらいのパワーが出てくるじゃないですか。

湯川:今の若いアーティストでも、音楽に情熱を持って活動している人たちはたくさんいると思うんです。私も応援しているアーティストがいますし。でも、決定的な「この1曲」がなかなかつくれない。「この1曲」という大ヒットを生み出すのが、今は本当に難しいんです。

中西:難しいですね。これは僕の持論でよく話していることですが、震災以降、音楽に対する人々の気持ちが変わったと思うんです。特に、震災後は昔の曲を聴く人がとても多かったじゃないですか。

湯川:よく分かります。私は自分が歌詞を書く時に、英語を一切入れたくなくなりましたから。

中西:そういった気持ちの中に、何かヒントがあるような気がするんです。最近の日本の楽曲は、長すぎるのと、転調が結構あるじゃないですか。一方でアメリカのポップ・チューンは短いんですね。アメリカでは日本の昭和60年代の歌謡曲がうけているそうなんですが、当時の曲はやっぱり2分30秒くらいですから。

湯川:確かに最近の曲は長いですね。私も楽曲をつくる側に立つことがありますけれど、もうディレクターに自信がなくなっちゃっていて、「これだ!」と決め打ちをできる人がいなくなっていますね。

中西: 例えば制作側が自信の持てる楽曲が仕上がったら、10人くらいのアーティストに同じ曲を歌ってもらうというのはどうですか。

湯川:いいですね。それと、もうそろそろ出てきてほしいなあと思うのは、往年の『スター誕生』みたいなオーディション番組なんです。海外には『アメリカン・アイドル』みたいな番組が数多くありますが、日本にも独自のオーディション番組が必要だと思うんです。単に歌のうまい人を探すのではなく、幅広い年代のリスナーが魅力的だと
感じる声の持ち主を探すために。それこそプロダクションとプロモーターと一緒になって、テレビ局に働きかけてほしいですね。

中西:実は僕も全く同じことを考えていまして、準備も進めているところです。

湯川:ああ、それはいいですね。ぜひ、実現させてください。


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