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topic3連載navi ARENA
ACPCからのご報告、音楽業界の最新ニュースをお伝えしつつ、広く皆様からもご寄稿いただく連載コーナー「navi ARENA」。
ACPCと加盟社の方々のコミュニケーションが広がる情報アリーナを目指します。皆様からの情報・投稿もお待ちしています。
山本幸治(ACPC理事)
現在、国では公益法人制度改革の真っ最中です。これは報道されている民主党の「仕分け」とは異なり、民間の公益法人(社団、財団)を対象としたもので、設立許可を受けた省庁から独立して活動しなさい、というお達しです。ACPCも幹部会で議論を進め、一般社団法人への移行を前提とした準備を進めていますが、この移行が実現すると、経済産業省傘下の業界団体という位置付けから外れ、独立・自立の道を歩んでいくこととなります。
生まれ変わるACPCの今後については、理事会などで協議が重ねられることと思いますが、ひとつの考え方として、「今後のACPCは何を期待されているのか」ということが、思考の端緒となるのではないでしょうか。
私はそのキーワードとして「共益」という言葉を示したいと思います。「公益性」と「収益性」を兼ね備えつつ、業界団体的な会員保護への偏りに気を配り、社会貢献という広すぎる範囲も設定せず、ライブ・エンタテイメント業界(会員社と関連企業を含めた)と消費者、つまり私たちの世界を成立させる“コト”や “モノ”に対する明快性や健全性を構築することに力を注いでいくべきではないか、ということです。
ただし、これはあくまでも私見ですので、皆様方からのご意見やご意向は膝を突き合わせて語り合いたいものです。正直申し上げて、ACPC設立から5年ぐらいの間は、今のように経済的に安定したACPCの姿は“想像できない”状態でした。だからこそ、ACPCという存在を今まで以上に大事に考えていきたいのです。私の口癖で恐縮ですが、ACPCは動いているのではありません。皆様方が動かしているのです。ACPCは、これからもっと面白くなるはずです。
昨年に続き中西健夫ACPC副会長も教壇に立つ(写真は昨年の講義より)
音楽出版社協会、実演家著作隣接権センターおよびACPCが共同で開講した寄附講座が、4月7日より幹事校の立命館大学産業社会学部を会場に行なわれています。この寄附講座は、同大学で客員教授を務める反畑誠一ACPC特別顧問のコーディネートにより、平成4年度からスタートした実績があり、今年度も毎回、各メディアや音楽・映像、IT業界から講師が登壇し、リレー方式で講義を受け持っていただいています。
通年で行なわれるシラバス(講義内容)のうち、既に公表されている前期(7月21日まで)15回講義の特徴は、その総合講座名「デジタル/ネット文化・産業論Ⅰ」からも分かるように、杉本誠司さん(ニワンゴ代表取締役社長)の「ニコニコ動画進化論2010」、猪子寿之さん(チームラボ代表取締役社長)の「CGと3D〜コンテンツ創作の近未来図〜」、畑陽一郎さん(日本レコード協会 事務局次長)の「日本のレコード産業史(デジタル化編)及び違法音楽配信の実態と対策」、來住尚彦さん(TBSテレビ赤坂サカス推進部部長)の「空間メディア文化創出とデジタル技術」など、デジタル/ネット系のテーマと取り組む講義が多くラインアップされることにあります。
その他、エンタテインメント産業界から迎える講師陣の講義は、大里洋吉さん(アミューズ最高顧問 兼アミューズ総研“Skhole”代表)の「日本文化とアート〜東京・浅草に新名所アミューズミュージアム誕生物語〜」、原田真二さん(シンガー・ソングライター 兼音楽プロデューサー)の「鎮守の杜コンサート〜心の環境問題を訴える〜」など独自の発想で音楽文化・産業と取り組まれている現況から、丸山茂雄さん(247Music取締役会長)の「コンテンツ産業進化論〜世紀の転換・技術の発達〜」、新田和長さん(ドリーミュージック取締役エグゼクティブ・プロデューサー)の「J-POP進化論〜加藤和彦、小田和正から平原綾香まで〜」、北川直樹さん(ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役コーポレイト・エグゼクティブCEO)の「ソニーレーベル42年史」など多彩な切り口で、過去・現在・未来を学習するところまで、時代のニーズに適応した講義内容になっています。さらに反畑特別顧問が担当するオリエンテーションから2回の総括講義、中西健夫ACPC副会長(ディスクガレージ代表取締役社長)の「続伸するライブ・エンタテインメント産業の課題」が加わり、充実のラインナップになりました。長年行われている立命館大学での寄附講座は、 ACPCが独自に行なっている東京工科大学のそれと同様、ここから業界の未来を担う人材が輩出されることも期待できそうです。
※文中の講義名は変更されることがあります。
小室丈典(ホットスタッフ・プロモーション)
ACPCの役員だけではなく、広く加盟社の方々にも寄稿いただく「VOICE」のコーナー。今回、原稿を執筆いただいたのはホットスタッフ・プロモーションの小室丈典さん。ユーザーにコンサートを提供する際、自分はどんな立場で臨むのか。様々な音楽の楽しみ方がある中で、コンサートにはどんなアドバンテージがあるのか—プロモーターとしてのマニフェストを綴ってくださいました。
例えば、食べ物は直接口に入れるものです。その時々で、最も旬なものを食すのが美味とされています。旬の食材を最高の状態で口にした時、人は衝撃を受け、五感をフルに使い記憶に焼き付けることができますし、料理を提供する側にとっては、それができた時が最高の仕事だと言えるでしょう。
目と耳で感じる音楽、特にコンサートにも全く同様のことが言えると思います。ユーザーに一番の旬な状態でコンサートを提供し、情報発信をすることこそがプロモーターにとって最大の役割だと思います。
アーティストとオーディエンスが一体となった会場を目の当たりにして思うのが「コンサートはコピーできない」ということです。月並みな表現かもしれませんが、私はここにコンサートの大きな強みがあると思いますし、今後のコンサート・ビジネスの活路もあると考えています。人と人を結ぶものとして、デジタルなツールがもてはやされていますが、便利な反面、同じような出会いが溢れ、あまりに簡単すぎて味気なかったりもします。やはり「コピーできない」アナログ感覚が一番大切であり、ブレてはいけない要素だと思います。
昨今、音楽業界においてはマイナス要因ばかりが叫ばれています。しかし、厳しいのは音楽ソフトの売り上げであり、コンサートだけで言えば数字上は右肩上がりの成長を遂げています。だからと言って、音楽業界がコンサート・ビジネス一辺倒になったら、どうなるでしょうか? コンサートの本数はさらに増えますが、一本一本のステージは乱雑になり、よりターゲットは細分化されて絞りづらくなり、今まで保たれていた市場の均衡は次第に崩れ始めるでしょう。コンサート業界全体の利益はプラスになるかもしれませんが、ユーザー側からすると、複雑でアクセスしにくいものへと変化してしまうのではないでしょうか?
かつては、アーティスト側、プロモーター側からの一方通行の情報発信が主で、ユーザーは受け手としてのみ存在していました。その後、デジタル化が音楽との関わり方を変え、両者がともに送り手であり、受け手でもあるという対等な関係になりました。ユーザーに情報選択の自由がもたらされた分、プロモーター側はユーザーの欲求を見抜く力をより磨かなくてはいけない時代になったと言えます。一方で、ユーザーとプロモーターがお互いに情報交換する機会が増えれば、コンサートの価値を上げる一つの要因にもなると思います。このような「新しい常識」をどのようにユーザーと共有していくかが、これからのプロモーターとって大事な役割の一つになるのではないでしょうか。
日頃、私はコンサート会場でユーザーと一番近い距離で仕事をしています。プロモーターとして情報を発信するだけでなく、ユーザーにも教わり、学び、反省し、次に活かします。インプットとアウトプットを繰り返すことで、気付かされる点も現場には数多くあります。
また、私は1人の観客としても、コンサートはそこでしか味わえない最高の時間を演出してくれるものだと思っています。プロモーターとしても、まずは自分自身が楽しむこと、ユーザーの視点を忘れないこと、常に世の中にアンテナを張り、多角的なプロモーションを行なうことを心がけ、日々邁進していきたいと思います。